「ヴィヴィオ」ってこんな車です


ヴィヴィオRX-Rシルバー

「超高密度スポーツ集積マシーン。」

こいつはホンモノだ。
回せば回すほど楽しいエンジン。
そして、そのパワーをがっちり受けとめる軽快なフットワーク。
走りもスタイルも、すべて密度が違う。
超高密度スポーツ集積マシーン。VIVIO RX−R

初期型カタログより


ヴィヴィオというクルマ


 なさんやみなさんの両親、もしかしたらおじいちゃんおばちゃんの世代に売れた軽自動車。「てんとう虫」とニックネームが付いた、そうスバル360という車から始まるスバルの軽自動車の歴史。スバル360から始まって、R−2、レックス(山田邦子のCMが忘れられない)と続き第4世代のスバルの軽自動車としてヴィヴィオは誕生しました。

 ’92年3月にレックスの後を継いで登場したヴィヴィオの名前は、一説には軽自動車規格である排気量「660」をローマ数字とかけて「VIVIO」から名付けられたという話もあります。しかし、サービスマニュアルには英語のビビッド「VIVID」=鮮やかなの造語であると書いてあります。ほかにも「若い女性に好感を得られる」とか、「特に覚えやすく発音しやすい」とも書いてあります。どれが本当か定かではありませんが、いまだに「おクルマなんですか?」と聞かれて答えると、「はっ?」って聞き直されるし、書類には「ビビオ」って書かれるし・・・。

 がそれましたが、ヴィヴィオを開発する上でスバルはまず、室内空間や安全性確保のためにホイールベース(前後の車軸間)を延長しました。結果当時のマーチよりも長い2310mmというホイールベースは、衝突安全性はもちろん、室内もかなり広くなり、その後軽自動車メーカー各社はこぞってロングホイールベースを採用しました。

 バルの車すべてにいえることですが、乗り心地や操縦性の良さもヴィヴィオの特徴です。その秘密は、「軽」だからという妥協した考えをせず、「軽」にも優れた乗り心地や操縦性を求めるべきだというスバルの姿勢です。具体的には、まず強靭なボディ剛性。そして、当時のレガシィと同形式の4輪独立懸架のストラットサスペンション。いまだに、コスト削減のためにリジット(左右輪がつながれた)サスペンションを採用している軽自動車がある中で、ヴィヴィオの操縦性、走行安定性は目を見張るものがあります。

 ンジンについては、ターボチャージャーで過給するエンジンが多い軽自動車エンジンの中で、唯一スーパーチャージャーを採用する通称「クローバー4」という4気筒エンジンは、高回転に弱いというスーパーチャージャーと、低回転に弱いという4気筒エンジンのお互いの弱点を見事に克服しているすばらしいユニットです。回そうと思えば、レッドの9200回転まであっという間ですし、街中ののろのろ状態から3速1000回転ちょっとからでもぐんぐん加速していきます。あえてスーパーチャージャーを採用し、見事にターボチャージャーに負けない性能を技術で実現しているスバルが技術屋さんといわれる所以は、ここら辺にも見え隠れしているような気がします。

 ザインについて。こればっかりは人によって好みというものがあってどうしようもないのですが・・・。スバルのセールスマンがこう話しました。「結局スーパーチャージャー車は1度も形が変わりませんでした。スバルでももちろんはじめてですが、他のメーカーでも珍しいですよね。」と。今ではマイナーチェンジするたびに形が変わるのが当たり前のようになっていますが、ヴィヴィオは変わりませんでした。つまり、それだけ完成されたデザインだということだと思うのです。ミラやアルトにたくさんのエアロパーツが市販されていますが、ヴィヴィオのエアロパーツが極端に少ないのも、完成されたデザインのせいで下手にパーツを付けるとバランスが崩れてしまうからだと考えられませんか?

 ではスバルといえば、スバル=ラリー=インプレッサというイメージがありますが、実はヴィヴィオも海外のラリーで大活躍しているのです。まだ、WRC(世界ラリー選手権)が今のようにメジャーになっていない’93年。何とヴィヴィオはあのサファリラリーでクラス優勝しているのです!世界最小排気量のWRCクラス優勝。スタート前「あんな小さいので完走できると思ってるのか?」と馬鹿にしていた、外国のチームのメカニックがトップでゴールしてきたヴィヴィオを見て、驚きで言葉が出なかったそうです。それほど、ヴィヴィオはクラスを越えた性能を有しているということでしょう。



ヴィヴィオスーパーチャージャーの主なグレード(最終型)

ヴィヴィオRX-Rレッド

一線を越えてしまうエクスタシー


どこまでクールでいられるか。
非日常へのワープを正当に行うすべとして
RX−Rを手なずけている。
DOHCスーパーチャージャーの
スピード感と操る悦びは、
わたしにとってエクスタシーに他ならない。

RX−R
初期型からずっと5MT車だけに与えられてきたRX−Rの称号。名前は変わっていなくても、数々のモディファイを受け現在に至っています。大きいところでは、エンジンがハイオク仕様になったり、リアサスペンション形状が変わりハンドリング特性を弱アンダーステアから、よりニュートラルなセッティングに変えるなどしています。

ヴィヴィオRX-RA

RAの挑戦。


チャンピオンの走りがそこにある。

RX−RA
4WDのRX−Rをベースに、専用サスペンションやクロスミッション、リア機械式LSDの専用装備を加え、エアバッグやパワーウィンドウ、エアコンなど省き、ベースより20kgも軽量化したラリーベース車です。このクルマが国内ラリーなどで、アルトやミラ、マーチなどと戦って、大活躍しています。さすがにエアコンがつかないので、普段の足としてはきついでしょう。足回りも硬そうだし・・・。

ヴィヴィオBistro-SS&RX-SS

クルマが身体の一部になる。


手足のように自由に操ることができるクルマが欲しかった。
スポーツシフトならDOHCスーパーチャージャーも身体の一部のようだ。
このドライビングフィールは、あいつのとは違う。

RX−SS・ビストロSS
世界初の6速マニュアルモード付ECVTのスポーツシフトを搭載した車です。まさやんの友人がこの車を買ったのですが、とにかく楽しいです。簡単に言うとゲームセンターのレースゲームの感覚です。ただ、運輸省の通達なのか、本物のレースカーやレースゲームとは+−が逆なのです(他の市販シーケンシャルシフト車もそのようです)。つまり、前に押すとシフトアップ、手前に引くとシフトダウンします。レースゲームになれているわたしなどは「えーとゲームと逆やからこっち」なんて確認しながらのシフト作業になります。まぁ慣れれば問題ないのですが・・・。実際の走りとしては、下り坂や減速時のシフトダウンが特に使いやすく、エンジンブレーキもかなり利き、自分が操っているんだなというのを実感できます。また、カーボン風のメーターパネルの中央に置かれた、LEDのデジタルシフト表示がなんとも近未来的ないい雰囲気を醸し出しています。夜になりライトをつけるとメーターに白い照明があたり、その赤いデジタル表示が更に強調され、シフトをするたびに変わる数字を眺めるだけでも、車を操る優越感に浸れます。聞くより乗れです!一度乗ってみることをオススメし ます。

ヴィヴィオ・スーパーチャージャー(RAを除く)の改良履歴

’92年3月:発売(A型)
  • S/C車はRX-R、GXをラインナップ
  • まさやんモデルはこの初期型RX−R 2WD 5MT 赤:ヴィヴィアンレッド
  • メーターは赤で赤照明
  • 最高出力:64ps/7200rpm 最大トルク:9.0kg・m/4000rpm レギュラーガソリン (RX−R 5MT)

’93年9月:小変更(B型)
  • GX-R追加
  • エアコンが代替フロン対応になり全車標準
  • シルバー追加

’94年5月:マイナーチェンジ(C型)
  • GX-L追加
  • リアサスペンション形状変更
  • メーターが白で緑照明に(過給インジケータ廃止)
  • ドアミラーとドアノブが黒に統一
  • 赤・紺が新色に
  • アルミホイールデザイン変更
  • リアシートベルトが3点式に

’95年10月:小変更(D型)
  • M300 S/C追加
  • 緑とグレーを追加
  • 白が消滅

’96年11月:マイナーチェンジ(E型)
  • ハイオク仕様追加
  • シートデザイン変更
  • メーターが白で白照明に
  • サイドステッカーが新デザインに
  • 赤が新色に
  • SOHC車に5MT設定
  • 最高出力:64ps/7200rpm 最大トルク:10.8kg・m/3600rpm ハイオクガソリン (RX−R 5MT)

’97年5月:追加
  • 世界初の6速シーケンシャルシフト付のECVT(スポーツシフト)車 RX-SS、ビストロSS追加

’97年9月:小変更
  • GX-SS追加、M300 S/C廃止
  • SOHC廃止で全車DOHCに
  • 5MT車は全車ハイオク仕様に
  • AT車はビストロスポーツを除き全車スポーツシフトに

’98年10月:軽自動車新規格へ移行のため後継車「プレオ」へバトンタッチ・・・

’03年12月:2世代新規格軽乗用車「R2」発売

’05年1月:新規格TENTOU虫(?)「R1」発売

ヴィヴィオの主な特別仕様・限定車
RX−R S1
スーパーチャージャー車初の限定車。グリーンガラスや当時はなかったシルバーを用意。その後シルバーは標準色となり、この限定車の価値が半減したのは言うまでもありません。500台。

T−top
某自動車専門紙で、「平成の珍車」とありがたくない名誉をもらったT-top。しかしそのコンセプトは、「軽自動車で4人乗れるオープンカー」というすばらしいものでした。富士重工40周年記念限定車。合計3000台。

リーボック
スニーカーで有名なリーボックとのタイアップ限定車。ベースはNA車だが、スーパーチャージャー車のバンパーを装備。サイドやリアにリーボックのロゴが入るほか、シートなども専用デザインとなっていました。実際には見たことありません。

GX−T
「平成の珍車」と言われようがやりますスバルは。なんとあのT−topにスーパーチャージャーを組み合わせてしまいました。これでコンセプトが「軽自動車で4人乗れてしかも速いオープンカー」ともう一つ売りが増え、いいとこ取りが好きなスバルなのでありました。1000台。
RX−Rスペシャルバージョン
1995年にサファリラリーでクラス優勝したことを記念して発売された。STi/PIAA製のフォグランプとPIAAのロゴ入りフォグランプカバー、CDプレーヤだけならまだしも、なんとフジツボ製マフラー(レガリスだと思われる)までも標準装備され、当時すでに自腹を切ってレガリスを付けていたまさやんを落胆させた・・・。限定200台。
ヴィヴィオビストロ サンバークラシック
ビストロ
もう説明の必要がありませんね。ビストロです。この車が日本のレトロ車ブームを起こしたのは万人が認めるところです。本当はサンバークラシック(画像右)という軽1BOXが初めなのですが、この車が花屋さんなどにかなり受けが良かったため、それじゃヴィヴィオにもやってみようという軽い(?)気持ちで限定車として設定したところ、みなさんもご存知のこの人気。一時はスバルの売り上げNO.1になり、業績を上向きにさせたという話もあります。その後、軽自動車のほぼ全車種、マーチやスターレット、ミラージュなどにもレトロ仕様が設定されていきました。ビストロもそんなライバルに負けじとスポーティな3ドアやホワイトエディション、本皮仕様など次々と車種を追加していきます。

ビストロスポーツ
上でも書きましたが、次々と追加されていったビストロに、「速いビストロがあってもいいじゃないか」という、またスバルらしい考えで生まれたのがこのビストロスポーツです。そのスポーツとはもちろんスーパーチャージャーを搭載したということです。ハイパワー化に伴う足回りを強化し、エアバッグやカーステレオをも標準装備しています。かわいいビストロボディのボンネットにはインタークーラーの空気導入口があり、しかもこの車だけの金色塗装のBBS製アルミホイールがかなり異彩を放っており、他のビストロとの違いを誇示しています。高速などでこのビストロに抜かれたりした人はどう思ったのでしょうか?この後、このモデルは上で書いたビストロSSに引き継がれることになります。2年連続WRC優勝記念特別仕様車。その後カタログモデルに。

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